石炭の利用価値と利用方法の進化

第一章 炭層調査

第二章 採掘方法

第三章 選炭方法と石炭運搬

第四章 どんな分野で使われているか

第五章 CCT(クリーンコールテクノロジー)

第六章 将来と日本の役割

参考 石炭の科学

さらに詳しく知りたい人に

 

イントロダクション

酸性雨(動画)を見る

 

人口の増加とともに産業が活発化し、
省エネルギーなどの努力が
二酸化炭素などによる地球温暖化解消に追いつくかは
重要な課題になっています。

溶ける氷河

 



今年2月25日アメリカ商務省の推計では世界の総人口がアメリカ東部時間25日夕(日本時間26日午前)にも65億人を突破すると発表。40年後の2046年には90億人に達する見通しとなったとのこと。増え続ける世界人口を背景にエネルギー資源などを巡る世界的な争奪戦が一段と激化する可能性がある、と新聞発表がありました。 

北京

今、世界中で石炭が必要とされています。その第一の理由は、中国を筆頭とする発展途上国(特に発展が著しい国の頭文字を取ってBRICs=ブラジル、ロシア、インド、中国)の産業が活発になって、工場の建物や施設、それに運搬に必要な車などを造るための鉄や発電のために石炭が必要となっているからです。
つい先日新聞でも報道されましたが、中国最大の露天掘り石炭鉱山で中国国内のエネルギー需要の増大で石炭の採掘に使う鉱山機械の需要が高まっていて、ダンプトラックやブルドーザーなどが必要とされていて、日本の有名な会社がそれを受注したという記事でした。


中国の炭鉱


中国ではエネルギー需要の増大に伴って現在20億トンの石炭の生産量をこれから10年でさらに5億トン増やす計画があるとのこと。 石炭は石炭火力発電所などの発電にもっとも多く使用されますが、次に使用量が多いのが製鉄です。
鉄を作るために石炭は欠かせないものです。
日本鉄鋼連盟の発表によると2006年1月に日本の自動車などに使う粗鋼という種類の鉄の生産量が過去最高となったということでした。


石油コンビナート(タンク)

石油の値段が高くなり、アメリカでも燃費のいい日本の車が売れています。また、日本国内でもバブル経済と言われた1990年以来16年振りに5000万トンの出荷量になる見通しとのこと。自動車だけでなく造船も好調とのこと。日本が強い高級鋼材が売れているのです。

さて、ここでは今、世界で石炭がどんな風に採掘されて、利用されているか地球の温暖化問題などと併せてお知らせします。

 

 第一章 炭層調査


地表踏査  地震探査  ボーリング探査


石炭というのは元々樹木だったものが朽ちて、積み重なり、その上に様々なものが堆積してできたことは石炭物語でもお伝えしましたが、その石炭がある層がどこにあるかはその場によってまちまちです。

石炭はどうやってできたか?

世界で最も多いのが地上から石炭を掘る露天掘りでアメリカで8割、オーストラリアで7割ということです。
反対に中国は95%が地下で石炭を掘る坑内堀が多いそうです。そこで坑内掘で石炭を掘るためには見えない石炭の層を探さなければなりません。そのことを「炭層調査」と言います。

炭層調査には地質調査(踏査=「とうさ」とも言います)と物理調査があります。 

地中にできた石炭層は地殻の変動で曲がったり、断層ができたりして、場所や深さは常に変化しています。そのなかで、炭量・炭質ともに経済価値のある石炭層が存在する地域が炭田と呼ばれています。

日本では北海道の石狩炭田や九州の筑豊炭田が有名です。

 

日本地図の赤い部分をクリックしてみましょう。
代表的な炭田の地図が表示されます。
ブラウザ画面をできるだけ大きくしてご覧ください。


【炭層調査】 

炭鉱を開発するためには石炭層の分布、石炭の品質、石炭埋蔵量を調べる必要があります。どんなに石炭埋蔵量が多くても石炭の品質が悪かったり、地下深くにある場合は経済性が悪いために炭鉱が開発されることはありません。炭鉱の開発のためには炭層調査というものが必要です。

1.地表踏査

炭層調査で一番重要で最も早い段階で行うのが地表踏査です。
石炭層は川岸や崖などに露頭として見えることがあります。
地質の技術者は時にはジャングルの中、時には川の中を這い回り石炭の露頭を探します。
また、踏査地域の細かな断層も見逃しません。
そのデータをもとに大まかな石炭の分布を想定します。


川に出ている石炭層の傾斜などを測っている



2.地震探査

地表踏査によって大まかな石炭の分布を把握したあとは石炭の分布を確認します。おもに地震探査法が用いられます。

地表に地面を揺らす機械を据えて地震波を発生させます。

起震車


地震波は地中の岩盤層や石炭層で屈折・透過・反射しますが、各層の物理的特性によって変化します。
この反射波や屈折率を地表で計測すると石炭層の分布や断層などが断面として確認することが出来ます。




3.ボーリング探査

調査区域の石炭分布が判断できました。
しかし、これで炭鉱が開発できるわけではありません。
最初に説明しましたが石炭の品質が悪ければ炭鉱の開発はできません。
同じ区域、同じ石炭層でも石炭の品質は変わります。
また、地震探査では細かな石炭の厚さなどはわかりません。
そこで、最後に行うのがボーリング探査です。

ボーリング探査では地下の状態を細かく分析でき、石炭サンプルを分析することによって炭鉱開発の基礎資料となります。

 

ボーリング探査
【コア採取


ボーリング探査


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第二章 採掘方法


露天掘炭鉱
露天掘り炭鉱


露天掘炭鉱(豪州)
露天掘炭鉱(豪州)

石炭を採る場合、地上から石炭を掘る露天掘りと地下から石炭を採る坑内堀があります。
アメリカ、オーストラリア、またロシアやウクライナなど元ソビエト連邦だった国々では半分以上が大規模な露天掘りです。これは露天掘りで掘れる石炭が多くあるからです。

それでも坑内堀をするのは、良質な石炭が取れれば採算が合うからです。


坑内堀



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 第三章 選炭方法と石炭運搬


選炭方法 石炭運搬船 コールセンター


石炭を採掘するときに石炭層の上下の岩石が混ざることがあります。また、石炭層といってもすべてが石炭というわけではなく、石炭層の中には薄い岩石層が挟まっていることが多いのですが採掘のときは岩石層も一緒に採掘します。このときに混ざった岩石を取り除く工程を選炭といいます。

石炭と岩石を分ける方法としては「比重選別」が一般的です。

石炭は軽く(比重1.1〜1.8程度)、石は重たい(比重2.5程度)です。もし、比重が1.8の液体に両者を浸せば、比重が1.8よりも軽い石炭は浮きますし、石のように1.8よりも重たい粒子は沈みます。浮いたものを集めれば石炭に、沈んだものはボタ(ズリ)になります。このボタを集めたものをボタ山と呼んでいました。

 

【選炭工場全景】
手前にあるのは排水に残った微粉炭を沈殿させる
シックナーと呼ばれる池



坑内から上がった原炭


バウムジグ


ドルボーイ


選炭工場からでる石炭
選炭工場からでる石炭


製品炭ヤード


石炭運搬車


石炭運搬船

石炭運搬船


船積み
.

 

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 第四章 どんな分野で使われているか


石炭火力発電

 電気集塵機
 排煙脱硝装置 乾式脱硫・脱硝装置

製鉄
 
PCI   セメント・コンクリートの原料     
 

火力発電所


 石炭は燃える資源なので火力が必要な所で多く使われている。また、石炭を蒸し焼きにしたコークスがなくてはできない鉄作りにも石炭は使われています。もうひとつ需要が多いのがセメント。石炭が燃えた後にできる石炭灰(フライアッシュやクリンカアッシュなど)が化学反応を起こしてコンクリートになります。では各分野の現在の最先端工場の様子をお知らせしましょう。

【石炭火力発電】

電気集塵機

電気集塵器


排煙脱硝装置


排煙脱硫装置

高圧の電気を流した2つの電極の間に、排ガスを通すと、煤塵(すすゴミ)はマイナスの電気を帯びてプラス側の電極に吸い寄せられます。この電極に吸着して堆積した煤塵を、周期的に打ち落として取り除きます。この原理は、摩擦で静電気を帯びた下敷などに紙や髪の毛が付着するのと同じです。

排煙脱硝装置

窒素酸化物を含んだ排ガスにアンモニアを加えて、金属系の触媒(化学反応を起こさせる物質)の中を通します。すると、排ガス中の窒素酸化物は、触媒の働きで化学反応を起こし、窒素と水に分解します。

反応式
4NO+4NH
3+O2→4N2+6H2O
6NO
2+8NH3→7N2+12H2O

セメント・コンクリートの原料
石炭灰の有効利用

石炭火力発電所等のボイラで石炭が燃やされたあとには石炭灰が発生します。これをフライアッシュといいます。このフライアッシュはセメントのアルカリ成分とよく反応することから、JIS規格にも制定されおり、一般のコンクリート構造物に利用されるようになり、ダムコンクリートなど様々なコンクリートに使われています。また、道路のアスファルトや地盤改良材、埋立材などの土工材に、建築分野では石炭灰がコンクリートより軽い特性を活かした人工軽量骨材の製造などにも利用されています。その他、農林水産分野では肥料や土壌改良材に利用されています。

 

ダムへの利用


建築物への利用


タフライト→道路への利用


肥料への利用

【製鉄】

高炉微粉炭吹き込み技術(PCI)

高炉



鉄板圧延工程

日本での高炉微粉炭吹き込み操業は1981年に新日鐵大分1高炉で始まりました。高炉の主な還元材はコークスですが1960年代以降は重油を補助燃料として吹き込むことで高生産性、高効率化、大型化が促進されてきました。しかし、2度のオイルショックの後、重油価格高騰のために還元材をすべてコークスに依存する操業が行われていました。そこに大分1高炉で微粉炭吹き込みシステムが導入されたのです。
その後安定生産体制が構築されて5年後の1986年には国内高炉の半数の16基の高炉が、1998年には国内のすべての高炉が微粉炭吹き込み設備が装備されました。

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 第五章 CCT(クリーンコールテクノロジー)


発電分野
石炭高効率燃焼技術 
PFBCA-PFBC
石炭のガス化技術  IGCC  IGFC

製鉄分野
石炭高度転換コークス製造技術  SCOPE21  

CCT参照ビデオ

様々な石炭の利用法の研究
液化技術 
NEDOL法 ジメチルエーテル製造技術
熱分解
 石炭部分水素化熱分解技術
脱灰・改質 UBC(褐炭の有効利用) Hyper Coal

環境にやさしい石炭利用技術の開発
 
CMM CBM
 CO2炭層固定化技術
 Hypr-RING


●発電分野

石炭高効率燃焼技術
加圧流動床燃焼技術(PFBC)、高度加圧流動床燃焼技術(A-PFBC)

石炭を地球環境に優しく、もっと効率的に燃焼して発電する方法のひとつとして、PFBC、A-PFBCがあります。
PFBCは燃焼性能が優れているので、様々な燃料が使え、環境問題の原因となる、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の排出量を非常に少なくすることができます。また、これまでの発電設備より小さくすることができるため、発電所の土地の確保が難しく、一番電力を必要とする都市に近いところに立地できる都市型立地向きの構造になっています。
このPFBCの技術をさらに発展させたA-PFBC(高度加圧流動床燃焼技術)は、石炭を一部ガス化することによって可燃性ガスを作り出し、天然ガス発電装置のように、ガスタービンで燃焼させて、より高効率でガスタービン発電機をまわし、その熱を回収することにより高温の蒸気を作り出し蒸気タービン発電機を回すという最も効率的な複合発電システムです。

石炭のガス化技術

石炭の最も効率的な利用方法として、石炭ガス化複合発電技術(IGCC)、石炭ガス化燃料電池複合発電技術(IGFC)が将来の有望な技術として研究が進められています。
IGCCは、微粉にした石炭をガス化し空気や酸素と反応させて、水素(H2)と一酸化炭素(CO)を主成分とした燃料ガスを発生させます。燃料ガス中の不純物等は、脱塵・脱硫設備などで除去・精製し、ガスタービンに送られます。この燃焼ガスをガスタービンで燃焼発電し、その排気ガスの熱を回収して蒸気を発生させ、さらに蒸気タービンを回して発電を行なう複合サイクル発電により、石炭の持っているエネルギーを最も効率的に電気に変換できる高効率発電のシステムです。
日本の電力会社はこの高効率が期待できるIGCCパイロットプラント(実証プラント)の研究開発を進めてきました。
また、このIGCCに、近年さらに高効率の新しい発電システムとして注目されている燃料電池を加えた次世代型のIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電技術)の研究も進められています。IGCCと同様に石炭をガス化し、そのガスを使って燃料電池、ガスタービンおよび蒸気タービンの3つを使用する高効率発電技術です。
燃料電池は水の電気分解の逆の原理で、陽極に酸素を、陰極に燃料ガスを連続的に供給して、電気化学的に反応させることにより、燃料のもつ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するものです。燃料電池を出た高温高圧のガスは、さらにガスタービンおよび蒸気タービンを回して発電します。
IGCCよりさらに高効率な発電システムであり、現在の火力発電と比べて、地球温暖化ガスであるCO2が最大30%も排出削減することが期待されています。


●製鉄分野

石炭高度転換コークス製造技術(SCOPE21)

鉄鋼石から鉄をつくるために不可欠なコークスの現在の製造法では、使用できる石炭の種類が限られていること等より、新しい次世代コークス製造技術(SCOPE21)の開発が進められてきました。SCOPE21は、生産性を格段に向上し、環境に十分配慮した、エネルギー消費の少ない革新的なコークス製造システムです。
従来、1200℃まで温度を上げてコークスを製造するコークス炉製造法に対してこのプロセスでは、石炭原料を350〜400℃で急激に加熱したのち、コークス炉に入れます。コークス炉の温度は750〜850℃ですみ、より短時間でコークスを製造することができるようになりました。この設備は従来よりも省エネルギーでかつ、従来より生産性が高く、今後、老朽化した現在のコークス炉の更新時に導入が考えられます。SCOPE21は世界で唯一の新コークスプロセスの大型開発プロジェクトであり、実用化が期待されています。

石炭の液化技術

NEDOL法(瀝青炭液化技術)

固体である石炭を液化して、石油と同じように液体で使用できるようにした石炭液化油製造は大正時代末期より研究を進められてきた歴史があります。近年、最も製造効率の高いNEDOL法という石炭液化法を日本で独自に開発しました。石油の場合、産出される地域が限れ、かつ政情の不安定な中近東地域に多く存在していることより、世界の各地で産出されている石炭を利用し油を製造することは、今後、アジア等の国の経済発展により、石油に代表されるエネルギーの確保が難しくなることが心配されるなか、石油不足を解消する一つの方法として、開発した石炭液化法が導入されることが期待されています。

ジメチルエーテル製造技術(DME)

DME(Di-Methyl Ether)は、現在、日本で年間1万トン、世界でも15万トンが製造され主にスプレー剤として利用されていますが、特徴として、燃えるときに硫黄酸化物やすすがまったく発生しないという環境に悪影響のないクリーンなエネルギーでもあります。毒性もなく、液化しやすいので使いやすく、LPガスの代替や、ディーゼル自動車、燃料電池車、火力発電、また化学原料としても利用できます。
近年、これまでのメタノールから脱水反応によって製造する間接製造方法に加え、DMEを天然ガスや炭層メタンガス、石炭やバイオマス等を原料とする合成ガスから直接合成し効率良く製造する方法の研究が進められ商用化を目指しています。さらに大量に安く製造できるようになれば将来のクリーンな燃料として幅広い利用が期待されています。

熱分解

石炭部分水素化熱分解技術(ECOPRO)

これまで、電力や化学及び鉄鋼など、単一の業界で石炭の効率的利用が進められてきましたが、さらに効率的に石炭を利用するために、石炭をベースとして電力、化学、鉄鋼業界を融合し、業界全体のエネルギーの利用効率を飛躍的に向上させる石炭部分水素化熱分解技術が開発されています。この技術は、微粉末にした石炭を高圧で適度な水素がある部分水素化熱分解炉のなかで瞬間的に石炭を改質し、化学原料や一般用・発電用燃料、製鉄に必要な燃料等を一つの炉から高効率に得られるものです。

脱灰・改質

低品位炭改質技術(UBCプロセス)

日本で一般的に使用されている瀝青炭や無煙炭という石炭の種類のほかに、褐炭や亜瀝青炭と呼ばれる、炭化が進んでいない低品位の石炭は、世界の石炭資源量の約半分を占め、アジア・太平洋地域にも多くあります。これらの低品位炭の特徴として、水分を多く含むため発熱量が低いことや自然発火しやすいなどの問題から、これまで供給や利用が制限されていました。このUBCプロセスは、低品位炭の水分を除去して発熱量を高くするとともに、自然発火性を抑制し、低品位の石炭を高品位の石炭に転換する優れた方法です。
現在、日本の技術で低品位炭資源の豊富なインドネシアにおいて、このUBCプロセスを用いた低品位炭改質技術の開発が行われています。

ハイパーコール利用高効率燃焼技術(Hyper Coal)

石炭を更に高効率に利用するため、ガスタービン・蒸気タービンを組み合わせた複合発電システムを用いることでこれまでの微粉炭火力発電よりも効率的な発電ができます。ガスタービンに供給するガス燃料の代替として石炭を利用するためには、石炭のガス化とガスの精製が必要ですが、この技術は、石炭に含まれる不純物の灰分やアルカリ金属類を除去すれば、ガスタービンで直接石炭を燃やすことができると考え、石炭を溶解する溶媒と呼ばれる液中で灰分を分離し、またイオン交換法でアルカリ金属を除去してクリーンな石炭(ハイパーコール)を製造し、直接この石炭をガスタービンで燃焼させる複合発電システム技術です。現在、このハイパーコールの製造とこれを使用した複合発電システムについて開発が進められています。

CO2炭層固定化技術

地中にある石炭層の中には多くのメタンガスが含まれています。これが大気中に排出されると地球温暖化の原因になりますし、炭鉱開発にあたっては、ガス爆発など炭鉱事故の大きな要因にもなります。
地球温暖化ガスにはメタンガスのほか、石炭や石油など化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素等があります。
石炭層に二酸化炭素(CO2)を注入すると、それまで石炭に吸着していたメタンガス(CH4)が脱着し、かわりにCO2が吸収される性質があります。この性質を利用して、石炭火力発電所の排煙から分離して回収したCO2を深部の石炭層内に固定し、効率的にメタンガスを回収・有効利用するための研究開発が行なわれています。現在は北海道夕張市での現場基礎実験段階ですが、実用化されれば低価格の二酸化炭素固定化技術として普及が期待されています。

参照図1

図版はクリックで拡大表示可能です。
ブラウザ画面をできる限り大きくしてご覧ください。



参考図2

図版はクリックで拡大表示可能です。
ブラウザ画面をできる限り大きくしてご覧ください。

石炭利用CO2回収型水素製造技術(HyPr-RING)

HyPr-RINGは、将来の水素エネルギー社会に必要な水素を豊富にある石炭から製造し、同時に地球温暖化となるCO2の回収を行い、石炭をクリーンにかつより効率的に使う技術です。これは、石炭のガス化炉内に直接CO2の吸収剤である石灰(一酸化カルシウム:CaO)を添加し、ガス化の際に発生するCO2をCaCO3として固定することで、一つの炉内で水素を製造する方法です。水素を石炭から製造して、同時にCO2の回収を可能にすることにより、未来のクリーンなエネルギーといわれている水素を石炭から大量に生産できるので、そのまま燃料電池、水素ガスタービン、水素自動車および化学原料として使うことができます。

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 第六章 将来と日本の役割

昨今、原油価格が高騰し、ガソリン価格も上昇しているニュースが世間を目にします。地球上で最も安価で大量にある石炭の価値がますます上がってきています。しかし、大量にある石炭も無限にあるわけではありません。エネルギー資源に乏しく、世界で最も多くの石炭を輸入している日本にとって、石炭の安定供給の確保が重要な問題となります。また、各国と協力して限りある石炭を効率良く利用する技術の開発や環境対策も同時に進めることが重要で、これら技術の分野で世界をリードする日本の役割は重要なのです。

エネルギー安定供給の確保



炭鉱技術海外移転事業










クリーンコールテクノロジー移転事業














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 参考 石炭の科学
 

石炭の種類と違い

炭素の割合で石炭の性質が変わります。
石炭は主に炭素、酸素、水素でできています。他にイオウや窒素が混じっています。一般に地中深くなればなるほど酸素と水素の割合が減って、炭素の割合が増え、炭素の割合が多ければ多いほど火力は強くなります。たとえば木材は50%が炭素、43%が酸素、7%が水素ですが、石炭も同じような構成です。炭素が少ない順に泥炭(56%)、褐炭(73%)、瀝青炭(84%)、無煙炭(94%)となり無煙炭は最も火力が強く、真っ赤に燃え、煙もほとんど出ないので無煙炭と呼ばれています。
泥炭は、ほとんどが地表にあるので掘り出しやすく、水分を多く含むので乾燥させてから使われています。その使いやすさから園芸用にも利用されていてピートと呼ばれています。
20メートルの厚さの泥炭は、地下1キロメートルの深さでは、長い時間が経つと4メートルの厚さの褐炭になります。地下3キロメートルの深さでは、2メートルの厚さの瀝青炭に。地下6キロメートルに深さだと、さらに押し固められているので厚さ1.5メートルの無煙炭になるといいます。

石炭層の深さと種類の特徴と違い

石炭はさまざまな化学構造を持つ高分子からなる有機質と鉱物質で構成される固体資源です。石炭を効率よく利用するためには、その利用目的によってさまざまなミクロスケールの物性や構造に関する情報が必要になります。

石炭の自然科学

石炭の元素組成

石炭の有機質の元素組成は石炭の種類によってさまざまですが、およそC100H30〜110O3〜40N0.5〜2S0.1〜3のように表されます。

無機質は以下の主要元素と微量元素で構成されています。

主要無機元素
Si(ケイ素),Al(アルミニウム),Ca(カルシウム),Fe(鉄),Mg(マグネシウム),Na(ナトリウム),Ti(チタン),K(カリウム)
微量元素
Be(ベリリウム),Se(セレン),V(バナジウム),Cr(クロム),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Cu(銅),Zn(亜鉛),Ga(ガリウム),Ge(ゲルマニウム),As(ヒ素),Hg(水銀),Pb(鉛),Rb(ルビジウム),Sr(ストロンチウム),Y(イットリウム),Zr(ジルコニウム),Nb(ニオブ),Ba(バリウム),La(ランタン),Ce(セリウム),Nd(ネオジム),Sm(サマリウム)など

石炭マセラル(組織)

石炭はおよそ3億5千万年前の石炭紀から数百年前の新第三紀にかけて地中に堆積した植物が、菌類によって分解され、さらに地殻変動などの圧力で炭化したものです。光学顕微鏡の観察で石炭マセラル(組織)を確認できます。

【下は石炭マセラルの反射顕微鏡写真】


V:ビトリナイト。植物の木質部に由来。
E:エグジナイト。植物の葉、角皮、花粉、種子、水藻、および樹脂質に由来。
I:イナーチナイト。植物の木質部、菌類に由来するが、強い酸化を受けているもの。

石炭の鉱物質

鉱物質の組成、存在形態や分散状態は、高温での燃焼、ガス化における石炭灰の生成メカニズムや挙動を解明するのに欠かせない基礎物性です。

石炭を研磨した表面の走査型電子顕微鏡写真
白く見える部分が鉱物質。

●代表的鉱物質

粘土鉱物(カオリナイトAi2O3・SiO2・xH2Oなど)
炭酸塩(カリサイトCaCO3など)
硫化物(パイライトFeS2など)
酸化物(石英、SiO2など)

●有機質結合金属

イオン交換性金属(ーCOO-Na+など)


石炭の有機質は、メチル基や水酸基などの官能基が結合したベンゼン環や多核芳香環を基本単位(クラスター)として、これらがメチレン結合やエーテル結合などによって架橋された分子量数百〜数千あるいはそれ以上のマクロ分子から構成されています。
マクロ分子はπ-π結合と呼ばれる芳香族平面間のファンデルワールス結合、水素結合、イオン結合などの非共有結合で架橋され、強固な三次元網目構造を形成しています。これらの分子間相互作用は、加熱時の石炭の物性変化や熱化学反応特性を支配する因子であることなどがわかってきました。


石炭の分子構造モデル


複雑な石炭構造をBethe Latticeの格子理論に基づいて、モノマーおよびLabile Link(分解しやすい結合)、Char Link(分解しない結合)、官能基、水素結合の4種類の結合形態でモデル化して、この結合の分解反応速度を熱分解モデルに従って定量化する、
計算機シミュレーションによる研究が実施されています。

これまで経験に頼ってきた石炭の世界も、石炭からベンゼン、メタンなどのさまざまな有用化学物質の生成量、液体成分(タール)の分子量分布の予測など、IT(Infomation Technology)時代の石炭利用技術開発へと大きく前進しています。
Bethe Latticeによる石炭結合形態のモデル化

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石炭を加熱すると何が起こるか?

石炭を不活性ガス中で加熱すると、石炭内部に存在するさまざまな結合の中で結合エネルギーの弱い部分から順番に切断されて分解し、多種多様のラジカルができます。
このラジカルは直ちに反応して、ガス、液体(タール)、固体(チャー)の安定した物質に変化していきます。この熱分解反応は、数ミリ〜数十ミリで完結します。

石炭の熱分解は、石炭を構成している芳香環、側環から直接、メタン、エチレン、ベンゼン、トルエンなどの有用化学物質を製造する有効な方法ですが、これらの物質をできるだけ多く回収するには複雑な構造を持つ石炭の短時間での分解反応を制御する必要があります。
*ラジカルとは?
ラジカルとは、電子対をつくっていない電子を持つ原子や分子のことです。原子や分子が熱分解、光分解、放射線分解などによって化学結合が切断された時に生成します。


石炭が燃える様子

石炭分子科学と熱分解科学を組み合わせた新しい転換法の開発

石炭の有機構造をすべて液体とガスの有用成分に変換することを目指して、多くの研究者から新しい熱分解方法が提案されています。例えば、石炭を過酸化水素水中、60℃で2時間前処理すると、メタノール系の汎用溶剤中に室温で簡単に溶解し、透明な液が得られます。この液を熱分解することで、石炭の94%をガス、液成分に変換できます。この方法によれば、石炭中の不純物を簡単に除き、固体であった石炭を石油のような液体として使うことができます。

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石炭粒子はどのように燃えるか?
第一段階

バーナーから噴出した低温の微粉炭粒子が、下流の火炎および放射によって予熱されます。

第二段階

昇温中の粒子は約400〜600℃になると熱分解が始まり、揮発分(ガスおよびタール)を放出します。この揮発分に着火して、揮発分燃焼が始まります(揮発分燃焼領域)。

第三段階

燃焼によって粒子の温度はさらに高くなり、揮発分の放出が終了する前後から固形分(チャー)の燃焼が始まります(表面燃焼域)。

固体を効率的に利用するためには、大きなかたまりのままではなく、まず小さな粒子群、つまり「粉体」にします。これは、錠剤の薬がすぐに溶けないのに比べて、顆粒の薬がすばやく水に溶けることからも分かります。ただし、粉体にしただけでは、気体と液体をとの反応はそれほど速くなりません。そこで、粉体が沈殿しないように気体や液体を上向きに透過させると、ある流速で上向きの力と重力が一致して、粉体層がまるで流体のような状態になります。これが流動層です。それまでは粉体の上にさらに流速を上げると粒子が気体を一緒に流れるようになり、未反応粒子が装置の外に飛び出してしまうため、その粒子を分離して、再度流動層の中に戻すようにしたのが循環流動層なのです。

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